makoto-developer's テックブログ

#数学 (28)

連載最終回。注文処理ワークフローを素直な手続き型と射の合成の両方で実装し、行数・アロケーション・レイテンシを測った。同じ機能なら1ステップあたり+30nsの追加コスト、9ステップ目から行数で得。同じ定義から実行・dry-run・Mermaid図・設定一覧の4つが導ける。そして正直に書く——型で進捗を保証することを諦めた場所、スタックトレースが深くなってステップ名が出なくなった場所、これはやりすぎだと判断した場所。

Functor から Applicative、Monad へ積み上げると、バリデーションのエラーが1件から3件に増える。式木を fold ひとつで畳んで評価・整形・簡約を書き分け、代数の積で木を1回だけたどる。iter.Seq が CPS 的な形をしていること、そして iter.Pull がスライス直走査の120倍遅いこと。最後に Go の天井——高階カインド多相の不在——を正面から測り、回避策3種のコストを比べる。

Goの標準ライブラリと日常のコードから Functor・Monoid・Kleisli合成・自然変換を取り出し、法則をテストで検証する。今回わかるのは「法則は最適化の許可証だ」ということ。ループ融合でメモリが半分以下、同じモノイドの実装差で55倍、並列畳み込みの損益分岐点は2〜3万要素。平均が並列化で壊れる様子と、その直し方も実演する。

圏論の解説はHaskell前提のものばかりで、Goを書く人には縁遠く見える。でも圏論が扱っているのは特定の言語機能じゃなく「合成」そのもの。第1回は、Goの型と関数が圏をなすことをproperty-based testで確かめ、純粋性が何を守っているのかを実際に壊して示し、合成のコストをベンチマークで測る。合成した関数は変数に入れて使い回せば手書きとの差が1ns未満と安く、呼ぶたびに組み直すと7倍以上遅い。

未解決のモノガミー予想に、AIと数値実験と計算機援用証明で挑んだ舞台裏。凸最適化への定式化、中心形式、margin を直接検証するという発想の転換が効いた場面と、AIが必ず犯す誤りを「式は数値が裁く」という規律で回収した記録。そして、できないと言わせることの価値について。

小世界で無敗だった強化予想F2'(包含単射版)を、本気で壊しにいった第3稿。ランダム約6.8万試行で3件。反例の正体は五角形 C5 の辺集合の和集合閉包(16集合の完全対称族)だった。長さ5以上のサイクルはすべて反例になるという一般則と、余原子定理F3まで確立する。

x を含まない集合の族 F_¬x もまた和集合閉——この遺伝性を足場にする第2稿。単元・二元補題を短い証明つきで確立し、吸収写像を n=4 の全4958族で定量化した。像比率を集計できた4943族では正準写像が99.4%で単射、失敗する核は28族。写像を自由化したマッチング版は n=3,4 の全数で失敗ゼロで、Frankl 予想より強い命題が生き残った。

主張は中学生にも説明できるのに45年決着していない、Frankl の和集合閉集合予想。2022年にエントロピー論法が初めて定数割合を出したところから入る。台集合が小さい範囲の全数検証(4958族)、Gilmer 論法の再現と固定点 ψ の検証、方法の上限(Chase–Lovett)の見積もり、そして多重化が袋小路だと示す定理F1まで。

最終稿。一般Schmidt族の探索で等号への漸近を見きわめ、証明マシンを証明書検証型v2に作り替え、Bell面を一本の五次式まで圧縮する。C の厳密区間エンジンと摂動解析で三つの岸に定理9・10・11を立て、全11件の定理と10件の補題で締める。末尾に、読者から届いた問いへの追記を置いた。

定理7が証明できたのは偶然ではなかった。任意のランク2状態の部分転置は、正の背景から2本のもつれスパイクを引いた形に書ける——この普遍構造を確立し、補題S・K・O、凸性連鎖とGram連鎖、Ky Fan の鍵で数値被覆率を99.5%まで進める。最後に定理8として L4-Bell族6パラメータ全体を定理7へ厳密還元する。旧第23〜34稿の統合。

予想M3'(混合3量子ビットの負性二乗モノガミー)を、発表する前に自分で証明できないか試した中間報告。完全証明には届かなかった。橋の補題と √2 係数の定理1は固め、問題を2枚の射影の主角度の幾何まで還元した。等号解析で予想がタイトなことも確定し、残る隙間を一点に絞る。

第3稿で検証した CKW モノガミーは、実は量子ビット限定の法則だった。量子トリットでは Ou(2007) の反例で破れる。反例を数値で再現して破れ幅 2/3 と幾何学的な理由を突き止め、負性なら不等式が戻ることを確認し、忠実さとモノガミーの非両立定理まで、配分の上限をどう数えるかの構造を追う。

片方を測ると、離れたもう片方が瞬時に決まる。この一文には「何かが飛んでいる」と「答えは最初から書いてあった」というまったく違う二つの読みが同居している。連載の第1稿では前者を、no-signaling 定理と 10⁻¹⁷ の数値検証で潰すところから始める。

残していた宿題を片づける回。三つの時間スケール、辞書の定理化、ホロノミーの数値検証、OPEの測定。そのうえでリーマン予想を「赤道予想」へ翻訳し、ブラックホール情報問題に「情報は動かない、地平が動く」という機構の答えを出してシリーズを閉じる。全7部の最終部(第1〜9章)。

貼り合わせは曲がっていた。Painlevé I の交換子から Witt 代数が出て、整合条件には黄金比が刻まれている。変換の圏 C_max を建て、二十章分の主張を検証済み・修正・未解決に仕分けて現在地を確かめ、中心拡大を追う。一度は「無い」と証明し、次元を一つ上げた先でモジュライ上に c=1 の共形場理論が現れる。全7部の第5部(第1〜7章)。

Airy の接続公式で貼り合わせを検算し、機械精度で合ったところで最初の問いへの答えを宣言する。ところが直後の点検(Nevanlinna–Sokal の定理と自然境界)が存在問題を突き、宣言の適用範囲を自分で削ることになった。13桁一致の数値検証と、特異点の型を読む辞書の拡張まで。全7部の第4部(第1〜5章)。

深さの球面に力学(勾配流とH定理)を入れ、確率単体まで広げ、ランダム量子回路で微視的に確かめる。そのうえで、量子系で建てた幾何をそのまま発散級数の側へ移す。Borel 平面の特異点が、距離が無限に離れた地平線として読めてしまう。全7部の第3部(第1〜5章)。

「情報が深いところにある」と言うとき、その深さは測れるのか。量子系を実験台にして、測れる形の定義を作る。手で解ける最小模型 D=1+H₂(sin²θ)、Page曲線の読み替え、スクランブリング時間の再導出、そして深さの空間に Fisher 計量を入れて球面を見つけるところまで。全7部の第2部(第1〜4章)。

1+2+3+… が −1/12 になる。数学者が都合よく決めた値ではないと知ってもなお、なぜそれで嘘にならないのかが腑に落ちなかった。発散したのは値だけで構造は無傷なのではないか——この仮説から、情報不変量 I(S)、情報保存変換の七公理、完全情報予想までを手探りで組み立てる。全7部の第1部(第1〜3章)。