未解決のモノガミー予想に、AIと数値実験と計算機援用証明で挑んだ舞台裏。凸最適化への定式化、中心形式、margin を直接検証するという発想の転換が効いた場面と、AIが必ず犯す誤りを「式は数値が裁く」という規律で回収した記録。そして、できないと言わせることの価値について。
2026年7月の記事 26件
すべての記事へ測定で、なぜ一つの結果だけが選ばれるのか。デコヒーレンスが解決すること・しないことをまず切り分け、五つの解釈を「実験で判別できるか」という一点で等級づけする。標準量子力学と違う予言をする客観的収縮モデル(GRW/CSL)だけが検証可能で、最も単純な GRW は2021年の地下実験で排除された。
「エネルギーを与えて反重力を生み出す装置」は作れるのか。カシミール効果や反物質など七つの抜け穴候補を一つずつ検分し、等価原理・正エネルギー定理・量子エネルギー不等式・ANEC の四つがどこをどう塞ぐのかを見ていく。引用はすべて実在の査読論文にした。
小世界で無敗だった強化予想F2'(包含単射版)を、本気で壊しにいった第3稿。ランダム約6.8万試行で3件。反例の正体は五角形 C5 の辺集合の和集合閉包(16集合の完全対称族)だった。長さ5以上のサイクルはすべて反例になるという一般則と、余原子定理F3まで確立する。
x を含まない集合の族 F_¬x もまた和集合閉——この遺伝性を足場にする第2稿。単元・二元補題を短い証明つきで確立し、吸収写像を n=4 の全4958族で定量化した。像比率を集計できた4943族では正準写像が99.4%で単射、失敗する核は28族。写像を自由化したマッチング版は n=3,4 の全数で失敗ゼロで、Frankl 予想より強い命題が生き残った。
主張は中学生にも説明できるのに45年決着していない、Frankl の和集合閉集合予想。2022年にエントロピー論法が初めて定数割合を出したところから入る。台集合が小さい範囲の全数検証(4958族)、Gilmer 論法の再現と固定点 ψ の検証、方法の上限(Chase–Lovett)の見積もり、そして多重化が袋小路だと示す定理F1まで。
最終稿。一般Schmidt族の探索で等号への漸近を見きわめ、証明マシンを証明書検証型v2に作り替え、Bell面を一本の五次式まで圧縮する。C の厳密区間エンジンと摂動解析で三つの岸に定理9・10・11を立て、全11件の定理と10件の補題で締める。末尾に、読者から届いた問いへの追記を置いた。
定理7が証明できたのは偶然ではなかった。任意のランク2状態の部分転置は、正の背景から2本のもつれスパイクを引いた形に書ける——この普遍構造を確立し、補題S・K・O、凸性連鎖とGram連鎖、Ky Fan の鍵で数値被覆率を99.5%まで進める。最後に定理8として L4-Bell族6パラメータ全体を定理7へ厳密還元する。旧第23〜34稿の統合。
数値探索から厳密証明へ、手法を切り替えた後半の記録。Dykstra 交互射影で証明戦略の限界を見極め、円板則が成り立つ粒度を特定し、定理5・6を初等計算で証明する。回転Bell族は一本の永年方程式に潰れ、有理数の区間演算による定理7の全域証明で閉じる。
総量と方向ごとの上限を同時に課す線形計画で上界(定理4)を証明し、最難関の族での証明上界を 1.0002 まで詰めた。目標は 1 だから、残りは 0.02%。定理3だけでは永遠に閉じられないことも測って確定させ、十稿分の定理・予想・訂正・残る課題を一覧にする総括の回。
補題L‡に二方向から迫る。整列度を負固有ベクトルの Schmidt 係数の積で抑える補題A(整列による制限)を証明し、最大もつれの場合の比率を 9/8 まで圧縮した。正値性の使い方は半正定値計画の実行可能性として定式化し、証明書を数値で構成する。
「負固有値は1個」という前提が、実測では97%が2個だった。前提を直したうえで、還元定理で M3' を補題L‡へ落とす。正値性を外すと反例が構成できることも示し、どんな証明も状態の正値性を使わざるを得ないと確定させた第8稿。
予想M3'(混合3量子ビットの負性二乗モノガミー)を、発表する前に自分で証明できないか試した中間報告。完全証明には届かなかった。橋の補題と √2 係数の定理1は固め、問題を2枚の射影の主角度の幾何まで還元した。等号解析で予想がタイトなことも確定し、残る隙間を一点に絞る。
負性二乗モノガミーの反例を、九つの探索領域で本気で探した。出なかった。最適化が張り付いていく先は自明な境界で、それを2行の補題で特定している。純状態版は He–Vidal 予想の独立再発見と判明し、空白だった混合状態版を予想M3'として置く。
重力はもつれを作れるのか。それを問う BMV 実験の理論部分を自分で計算した。軸になるのは「古典チャネルはもつれを作れない」という LOCC 定理。現実的なパラメータで重力位相 0.314 rad、もつれ C=0.156、最大 CHSH=2.024>2 を独立2手法で確認し、実験の難所と論法の抜け穴も並べる。
第3稿で検証した CKW モノガミーは、実は量子ビット限定の法則だった。量子トリットでは Ou(2007) の反例で破れる。反例を数値で再現して破れ幅 2/3 と幾何学的な理由を突き止め、負性なら不等式が戻ることを確認し、忠実さとモノガミーの非両立定理まで、配分の上限をどう数えるかの構造を追う。
相関の配分制限(モノガミー)を3量子ビット2000例と GHZ/W 状態で確かめ、PRボックスの構成と情報因果律で「なぜ 2√2 で止まるのか」に答える。五つの部品で機構としての解答を組み上げ、残った測定問題を等級づけして、いったんシリーズを閉じる。
量子もつれは「あらかじめ書かれた答えの表」(局所隠れ変数)で説明できるのか。全16戦略を総当たりして古典の上限が 2 であることを確かめ、量子が 2√2 を出すこと、そしてなぜそこで止まるのか(Tsirelson 限界)までを数値で押さえる。
片方を測ると、離れたもう片方が瞬時に決まる。この一文には「何かが飛んでいる」と「答えは最初から書いてあった」というまったく違う二つの読みが同居している。連載の第1稿では前者を、no-signaling 定理と 10⁻¹⁷ の数値検証で潰すところから始める。
残していた宿題を片づける回。三つの時間スケール、辞書の定理化、ホロノミーの数値検証、OPEの測定。そのうえでリーマン予想を「赤道予想」へ翻訳し、ブラックホール情報問題に「情報は動かない、地平が動く」という機構の答えを出してシリーズを閉じる。全7部の最終部(第1〜9章)。