第8稿。予想M3'の証明の隙間を大きく狭めた回。まず前提の修正:ランダム混合状態の97%は部分転置の負固有値が2個で、第7稿の単一固有値解析はほぼ測度ゼロだった。負部分全体で整列度p̄を定義し直すと、3行の還元定理「M3' ⟸ 補題L‡(p̄²+q̄²≤1)」が成立する。L‡は596例の検査で最大0.983・破れなし。さらに決定的な発見:正値性ρ≥0を外した明示構成で比率1.31>1が実現できる——つまりL‡は行列解析だけでは偽であり、いかなる証明も状態の正値性を使わねばならない。途中で踏んだ転置規約のバグとその発見の経緯も、研究ノートの流儀で正直に記録する。
第7稿。予想M3'(混合3量子ビットの負性二乗モノガミー)を「発表する前に証明する」試み。完全証明には届かなかったが、道中で証明できたものを固める:橋の補題(部分転置の負固有値は固有ベクトルのもつれの半分以下——2行で証明)、定理1(√2係数つきモノガミーは無条件に成立)、定理3(問題は2つの射影の主角度cの幾何に還元され、c≤√2−1なら完全証明)。等号解析により予想がタイト(単一ペア状態で厳密に飽和)であることも確定。残る隙間はc>√2−1領域での正値性制約の活用一点に絞られた。数値検証は全項目つき。
第6稿。負性二乗モノガミーの反例を9つの猟場(純・混合、qubit・qutrit・ququart、3体・4体、ランダム・構造化・敵対的最適化)で本気で狩った報告。獲物は出ず、最適化はギャップ0に漸近するだけで越えない——しかもその漸近が自明な境界への吸い寄せであることを2行の補題で特定した。文献との突き合わせで、純状態版は He–Vidal 予想(2014)として10年前に同じ数値実験つきで提出済みと判明(独立再発見)。一方、混合状態版は2022年のレビューにも記載がない空白地帯であり、4,800例+最適化2系統の証拠を添えて「予想M3'」として提出する。新規性監査の実務——何が既知で、何が再発見で、何が新規候補か——を最初から帳簿に組み込んだ稿。
第5稿。棚卸しで挙げた実験可能な未解決問題——重力はもつれを作れるか——に踏み込む。鍵となる論法は驚くほど純粋な量子情報理論である:古典チャネルはもつれを作れない(LOCC定理)。ゆえに、重力だけで二つの質量がもつれたなら、重力は古典では有り得ない。本稿ではBMV実験(Bose et al. / Marletto–Vedral 2017)の理論部分を完全に計算する:現実的パラメータ(10⁻¹⁴ kg・450 μm・2.5秒)で重力位相 Δφ=0.314 rad、生成もつれ C=0.156、そして最大CHSH=2.024>2 ——ベル違反可能な量のもつれが、独立2手法の計算一致つきで出る。成功すれば重力の量子性の初の実験的証拠であり、ノーベル賞級の的である理由と、残る抜け穴も正直に記す。
攻略再開の第4稿。第3稿で検証したCKWモノガミー(相関の配分制)は、実は量子ビット限定の法則である。次元を1つ上げた量子トリット(qutrit)では、Ou(2007)の反例——3粒子の完全反対称状態——で帳簿が破れる。本稿はこの反例を数値で完全再現し(破れ幅はちょうど2/3)、破れの幾何学的な理由(Λ²(C³)の全元が分解可能)を特定する。そして「どの通貨なら帳簿が合うのか」を追う:負性(negativity)は同じ状態で帳簿を守り、ランダム1200例でも反例なし。さらに文献から「忠実さとモノガミーは原理的に両立しない」という定理を引いて、通貨問題の構造を確定する。
最終稿。部品は揃った——何も飛ばない(第1稿)、答えの表でもない(第2稿)、正体は2√2の強さを持つ相関関数(第2稿)。本稿ではまず相関の配分制限(モノガミー)をランダム3量子ビット2000例とGHZ/W状態で数値検証し、もつれが「深さ2に置かれた配分制の資源」であることを確定する。次にPRボックス(no-signalingなのにCHSH=4)を構成して「なぜ自然は2√2で止まるのか」が独立の問いであることを示し、情報因果律による答えを紹介する。最後に、五部品の機構としての解答を組み上げ、それでも残る本物の謎(測定問題)を正直に等級づけして、シリーズを閉じる。
第2稿。前稿で「何も飛んでいない」ことは確定した。残る候補は「答えは最初から書いてあった」(隠れた変数説)。ベルの定理はこれを実験で判定可能な数値——CHSH相関量——に変えた。本稿では、あらかじめ答えの表を持つ全戦略16通りを総当たりして古典の上限2を確認し、量子(シングレット状態)が2.8284271247=2√2を出すことを数値で確かめ、さらになぜぴったり2√2で止まるのか(Tsirelson限界)を演算子の恒等式で検証する。深さ2の倉庫の容量が古典1ビット・量子2ビットである帳簿も添える。
新シリーズ第1稿。量子エンタングルメントの有名な疑問——もつれた粒子の片方を測ると、どんなに離れていてももう片方が瞬時に決まるのはなぜか。アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と呼んだこの現象を、疑問の解剖から始める。「瞬時に決まる」には二つの読み方があり、片方(何かが飛んでいる説)はno-signaling定理が機械精度で殺すことを数値検証する。残るもう片方(最初から書いてあった説)が本当に成り立つのかが、次稿の主題になる。